不動産クラウドファンディングを取り扱う事業者が増え、生活の中でも耳にする機会が増えてきました。業界としての規模はどのくらい拡大しているのでしょうか。また今後はどのような成長が見込まれるのでしょうか。
この記事では、国内外の市場規模データと将来予測、そして市場拡大の背景にある理由を解説します。
- 不動産クラウドファンディングの国内市場規模の現状
- 世界市場の将来予測(2032年まで)
- 市場拡大を支える4つの理由
- 市場拡大に伴い投資家が注意すべきこと
国内市場規模の現状

国土交通省「不動産特定共同事業の利活用推進ハンドブック」によると、日本国内の不動産クラウドファンディングの新規案件数・出資額は過去5年間で急拡大を続けています。
| 年度 | 新規案件数 | 出資額 |
|---|---|---|
| 平成30年度(2018年) | 26件 | 12.7億円 |
| 令和5年度(2023年) | 530件 | 1,007.8億円 |
5年間で件数は約20倍、出資額は約79倍という急成長です。2018年時点では12.7億円にすぎなかった出資額が、2023年には1,000億円を超える規模に達しました。
世界市場の将来予測

Polaris Market Researchのデータによると、不動産クラウドファンディングの市場規模は世界的にも大幅な拡大が予測されています。
| 年 | 世界市場規模 |
|---|---|
| 2023年 | 195億米ドル |
| 2024年 | 269億3,000万米ドル |
| 2032年(予測) | 7,934億8,000万米ドル |
年平均成長率(CAGR)は50.9%と極めて高い水準が見込まれています。
2032年の地域別内訳を見ると、北米(North America)とアジア太平洋地域(Asia Pacific)が大半の市場を占める見通しです。
日本が属するアジア太平洋地域は、上表の2023年以降のデータが示す成長が始まる以前の2022年時点で、すでに工業化の進展・急速な都市化による商業建設活動の増加を背景に最大の市場シェアを占めていました。
この地域が世界市場の拡大をけん引してきたことが、2032年の予測にも反映されています。
不動産クラウドファンディングがここまで成長している背景には、他の資産形成手段と比べた明確な優位性があります。
① 少額から投資できる
従来の不動産投資は数百万〜数千万円の資金が必要で、個人投資家には参入ハードルが高い手法でした。
不動産クラウドファンディングは案件にもよりますが1口1万〜10万円程度から投資できるため、機関投資家だけでなく個人投資家も手軽に参入できます。
② インターネット上で完結できる
投資家登録・案件への申し込み・その他手続きが基本的にすべてインターネット上で完結します。全国どこからでもアクセスして出資申し込みができるため、不動産投資が以前より身近なものになりました。
③ 優先劣後出資制度によるリスク軽減
多くの案件で「優先劣後出資制度」が導入されており、万が一損失が発生した場合でも劣後出資者である事業者が優先的に損失をカバーする仕組みがあります。
元本割れを完全に排除できるわけではありませんが、一般的な不動産投資と比べてリスクが軽減できる点が人気の理由の一つです。
優先劣後出資制度の詳細は「不動産クラウドファンディングの優先劣後出資制度とは?」をご覧ください。
④ 不特法による投資家保護の整備
不動産クラウドファンディング事業を行うには、不動産特定共同事業法(不特法)に基づき、国土交通省または都道府県知事の許可を取得することが必要です。
この法整備により、一定水準の投資家保護が担保されています。不特法の詳細については「不動産クラウドファンディングの安全性と透明性を支える国土交通省」をご覧ください。
市場拡大に伴い投資家が注意すべきこと
市場の拡大は投資の選択肢を広げる一方で、投資家自身が注意すべき点も生じます。
事業者増加による見極めの必要性
事業者が増えることで投資先の選択肢は広がりますが、その分、信頼できる事業者を自分で見極めることが重要になります。
不特法によって一定水準は担保されているものの、リスクは完全になくなるわけではありません。運営会社が倒産・経営破綻した場合、投資家に不利益が生じる可能性もあります。
投資前に確認すべきポイントとして、過去の分配実績(元本割れ・配当遅延の有無)・財務状況・取り扱ってきたプロジェクトの内容・不動産クラウドファンディング協会への加盟有無などを必ずチェックしましょう。
投資家自身によるリスク管理
物件の運営・管理がすべて事業者に委ねられる分、資金の流れや運用状況の把握が難しい面もあります。
利回りや運用期間だけでなく、物件の概要・収益スキーム・想定されるリスク項目まで理解した上で投資することが重要です。ファンドの詳細ページに記載されているリスク項目は必ず確認する習慣をつけましょう。
まとめ
国内の不動産クラウドファンディング市場は5年間で出資額が約79倍に拡大し、世界市場も2032年に向けて年平均50.9%の成長が予測されています。
少額投資・オンライン完結・優先劣後制度・法整備という4つの要因が市場拡大を支えており、今後もこの成長トレンドは続く見通しです。
一方で事業者数の増加に伴い、信頼できる事業者を自分で見極める力がますます重要になっています。市場の成長を活かしながら、リスク管理を徹底して取り組むことが安定した資産形成への近道です。
次のステップへ
不動産クラウドファンディングの市場規模と成長背景を理解したら、次は実際に投資を始める準備に進みましょう。
会員登録から最初の投資実行までの具体的なステップは「【初心者向け】不動産クラウドファンディングの仕組みや始め方を解説!」で詳しく解説しています。
また、仕組みや投資の流れをあらためて確認したい方は「【初心者向け】不動産クラウドファンディングについて徹底解説」をあわせてご参照ください。
不動産クラウドファンディングの市場規模に関するよくある質問

