不動産クラウドファンディングを調べていると「SPC(特別目的会社)」という言葉を目にすることがあります。SPCを活用したファンドは、事業者の倒産リスクから投資家の資産を守る「倒産隔離」の仕組みを持つ点が最大の特徴です。
本記事では、不動産クラウドファンディングの文脈におけるSPCの仕組みを投資家目線で解説し、Jointo αの実際の事例もあわせて紹介します。
なお、不動産クラウドファンディングは不動産特定共同事業法に基づき国土交通大臣または都道府県知事の許可を得た事業者のみが運営できます。
SPC型が該当する第三・四号事業を含む法的枠組みの詳細は「不動産クラウドファンディングの根幹!不動産特定共同事業法と4事業徹底解説」をご覧ください。
- 不動産クラウドファンディングにおけるSPCの役割と仕組み
- 倒産隔離とは何か・投資家にとってのメリット
- SPC型のデメリットと注意点
- SPC型案件を選ぶ際の3つのチェックポイント
- Jointo αのSPC型ファンド事例
SPC(特別目的会社)とは
SPC(Special Purpose Company:特別目的会社)とは、特定の投資案件のためだけに設立される独立した法人です。
不動産クラウドファンディングでは、投資対象の物件を保有・管理するために設立され、運営会社とは完全に切り離された別法人として機能します。
通常の不動産クラウドファンディング(第一号事業)では、運営会社自身が物件を保有します。一方SPC型では、運営会社が新しい投資案件を立ち上げる際にSPCを設立し、そのSPCが物件を保有する構造をとります。
SPCが不動産クラウドファンディング以外の金融・不動産分野でどのように活用されているかについては「SPCとは?不動産投資での活用事例と投資家のメリットを紹介」をご覧ください。
SPC型の仕組み
SPC型不動産クラウドファンディングの流れは以下のようになります。
① SPCの設立
運営会社が投資案件ごとにSPCを設立します。SPCは法人として登記され、投資対象となる不動産を購入・保有する役割を担います。
② 投資家からの資金調達
投資家が出資すると、その資金はSPCの専用口座で管理されます。運営会社の財務と混在することがないため、資金の流用リスクが低くなります。
③ 物件の取得・運用
SPCが集めた資金と銀行借入金を組み合わせて不動産を取得します。物件の実際の管理・運用はSPCと運営委託契約を結んだ運営会社が行います。SPCはあくまで物件を「保有する器」として機能します。
④ 収益の分配
SPCが運用する不動産から得られた賃料収入や売却益がSPCを通じて投資家に分配されます。
SPC型のメリット
① 倒産隔離:事業者の倒産から投資家の資産を守る
SPC型の最大のメリットは倒産隔離です。
通常の不動産クラウドファンディングでは、事業者自身が物件を保有しているため、事業者が倒産した場合、対象物件が債権者に差し押さえられ、投資家の資金回収が困難になるリスクがあります。
一方、SPC型では物件を保有しているのはSPCです。SPCは運営会社とは完全に独立した別法人であるため、運営会社が倒産してもSPCの資産は運営会社の負債整理の対象にならず、投資家の資金への影響を抑えられます。
| 通常の不動産クラウドファンディング | SPC型 | |
|---|---|---|
| 物件の保有者 | 運営会社 | SPC(独立法人) |
| 倒産時の影響 | 物件が差し押さえられるリスクあり | SPCの資産は保護される |
| 資金の管理 | 運営会社の財務内で管理 | SPCの専用口座で分離管理 |
② 資金の透明性が高い
投資家の資金がSPCの専用口座で管理されるため、どの不動産に資金が使われているか・収益がどのように分配されるかが明確になります。運営会社の他の事業への流用リスクが低く、透明性の高い運用が期待できます。
③ 案件ごとのリスク分離
SPCは投資案件ごとに設立されるため、ある案件で問題が発生しても、他の案件への影響を遮断できます。運営会社が複数のファンドを運営している場合でも、1つの案件の失敗が他の案件に波及するリスクが低くなります。
④ 大規模物件への投資が可能
SPCは投資家からの出資金に加えて銀行からの借入金も組み合わせられるため、通常の不動産クラウドファンディングでは扱いにくい大規模・高品質な物件への投資が実現できます。
なお、万が一損失が発生した場合に事業者が先に損失を負担する「優先劣後出資制度」については「不動産クラウドファンディングの優先劣後出資制度とは?」で詳しく解説しています。
SPC型のデメリットと注意点
① 運用コストが発生する
SPCの設立・維持には法人登記・会計管理・税務処理などのコストがかかります。このコストが運用費用に含まれるため、通常の不動産クラウドファンディングと比べて利回りに影響が出る可能性があります。
特に小規模な案件では運営コストの影響が大きくなるケースもあるため、手数料や管理費用を事前に確認しましょう。
② 運営会社の管理能力に依存する
SPCは独立した法人ですが、実際の物件管理は運営会社が担います。管理体制が不十分だったり不適切な運営が行われたりした場合、SPCの財務状況が悪化し投資リスクが高まる可能性があります。
運営会社の実績・信頼性の確認が不可欠です。
③ SPCが負債を抱えるリスク
銀行借入を活用する構造上、SPCが負債を抱えた場合、返済が優先されるため投資家への分配が滞るリスクがあります。
不動産の運用が計画通りに進まず賃料収入が想定より低下すると、投資家が受け取る利回りも減少する可能性があります。
SPC型案件を選ぶ際の3つのポイント
① どんな物件に投資するか
物件の種類(住宅・オフィス・商業施設・ホテル・物流施設)・エリア・稼働率・賃貸契約の安定性・運用期間・収益タイプ(インカムゲイン型/キャピタルゲイン型)を確認しましょう。
自分の投資目的とリスク許容度に合った案件を選ぶことが重要です。
② 運営会社の信頼性
過去の元本割れ・配当遅延の有無・財務状況・劣後出資割合・情報開示の透明性を確認しましょう。SPCが独立した法人であっても、物件の運用管理は運営会社が担うため、運営会社の信頼性が投資結果に直結します。
③ リスク管理の仕組み
SPCの資産管理方法(運営会社とSPCで分別管理されているか)・SPCの負債比率(借入リスクを抑えるため一般的には50%以下が望ましい)・途中解約の可否を確認しましょう。
Jointo αのSPC型ファンド事例
Jointo αでは2025年に初めてSPC型の不動産クラウドファンディング商品を提供しました。

| 詳細 | |
|---|---|
| 対象物件 | ロイヤルパークホテル倉敷 |
| 募集金額 | 1,164,500,000円 |
| 予定分配率 | 年利5.0% |
| 運用期間 | 3年間(2025年3月6日〜2028年3月5日) |
| 最低投資額 | 10万円以上(1口〜) |
※こちらの募集はすでに終了しております。
SPC型ファンドの仕組みと特徴
このファンドでは、特例事業者であるSPCが「ロイヤルパークホテル倉敷」を取得し、運営会社のあなぶきエンタープライズへ賃貸するスキームを採用しています。
投資家への分配は、賃料収入と物件売却時の利益を原資とし、インカムゲインとキャピタルゲインの両方を得られる仕組みになっています。
さらに、SPCを活用することで、運営会社の倒産リスクから投資家の資金を守る「倒産隔離」の仕組みを導入していることで、投資家の資金がより保全されやすくなっています。
Jointo αの「SPC型アルファアセットファンド1号」は、SPCを活用した安全性の高い投資スキームと魅力的な特典を備えたファンドとして、リピーターだけでなく、新たな投資家様からも注目を集めました。
Jointo αでは、従来の不動産クラウドファンディングに加え、SPC型の商品を導入したことにより、投資家の目的に応じた投資スタイルを選択できるようになりました。
まとめ
SPC型不動産クラウドファンディングは、投資対象の物件を運営会社とは独立したSPCが保有するという構造が最大の特徴です。
この仕組みによって生まれる「倒産隔離」の効果つまり運営会社が倒産しても投資家の資産が守られやすくなる点は、通常の不動産クラウドファンディングにはないSPC型ならではの強みといえます。
SPC型案件を選ぶ際は「物件の特性」「運営会社の信頼性」「リスク管理の仕組み」の3点を必ず確認した上で、自分の投資目的とリスク許容度に合った案件を選びましょう。
次のステップへ
SPC型の仕組みが理解できたら、次はSPCの法的位置づけや税務面、そして投資で得た収益の節税活用について確認しておきましょう。
SPC型ファンドを含む不動産クラウドファンディングの節税活用について知りたい方は「不動産クラウドファンディングで「節税」はできる?」をご覧ください。
SPCが不動産投資全般でどのように活用されているか詳しく知りたい方は「SPCとは?不動産投資での活用事例と投資家のメリットを紹介」をご覧ください。
不動産クラウドファンディングのSPC型に関するよくある質問

